木月ほほえみ保育園のブログ「そこはっ!ほほえみっ子」

今はだめ(幼児組編)

2021.07.09

のびのび組に進級して3ヶ月が経ち幼児組の生活もすっかり板についてきました。

 

ある日の午後、お帰りの会が終わりお部屋で過ごしていた時のお話です。

Aちゃんが私の元へ駆け寄ってきました。

Aちゃんは「Bちゃんに入れてって言ったのにダメって言った」と私に伝えてきました。私は詳しく話を聞くためBちゃんのいるホールへAちゃんと向かいました。

ホールでは、Bちゃんを含めた3人が布団を出してごっこ遊びをしていました。私はBちゃんに「Aちゃんに入れてって言われた?」と聞くと、Bちゃんはすぐに「言われたけど、今はCちゃんとDちゃんと遊ぶって決めててね、だからもう入れないの」と返ってきました。何度か「どうしても?」と聞いても首は縦に振ることはありませんでした。

そこで私はAちゃんに「今は、遊ぶお友だちを決めてたみたいだから絵本でも読もうか」と声を掛けるとAちゃんはしぶしぶでしたが、承諾してくれました。

場所を移動し、Aちゃんと絵本を2冊読むとAちゃんも他の遊びに移っていきました。

 

しばらくして、Aちゃんの姿を探すとカプラのゾーンでBちゃん達と一緒に遊ぶ様子がありました。「一緒に作ってるの?」と声を掛けると「そうだよ!」「カプラはAちゃんも一緒にやるの!」と嬉しそうに応えてくれました。

 

この子どもたちのやり取りを見ていて幼児組になり、仲間意識が一段と高まっているのだと感じました。「入れて」「いいよ」「だめ」さらに「やめる」「抜ける」などのやり取りは子どもたちの遊びの中で、とても大切で重要なものです。

ごっこ遊びをしている時、「〇〇ちゃん入れてって言ってないよ」「やめるって言ってないのにあっちに行った」など今、遊んでいるお友だちとの関わりや繋がりを強く感じながら遊ぶ姿が多く見られるようになりました。

2歳児の頃は近くのお友だちと遊んでいてもどこか一人の世界があったり出入りが自由なごっこ遊びでした。

 

今回の場面では、Bちゃん達が遊ぶ事を約束していたことで一つのグループができ、その中で役割を決め、遊びを発展させていました。Bちゃん達は遊びを守り継続するためAちゃんの「入れて」の受け入れを断ってしまったのではないかと感じます。

 

遊びがひと段落し次の遊びへ移行する時、今までのグループは解消されAちゃんの含めた新たなグループが生まれました。職員が「入れてあげてね」と強く言ってしまえばAちゃんは遊びに入ることが出来たかもしれません。 しかし、子どもたちが作った関係性や気持ちを汲み取り今回は、Aちゃんに諦めてもらう形になってしまいました。

 

3歳児の中でも、月齢や発達によって仲間意識の幅は異なり、言葉で伝える子とその場の楽しそうな空間に言葉なく入っていく子など、様々です。

ルールや遊び方、その時感じている気持ちは一人ひとり日々違ってきます。

そのことを保育者として理解し、どんな思いがあったのか丁寧に聴き、子どもたちにもお互いの気持ちがあることを伝え、両者が納得できるように言葉を汲み取っていきたいと思います。

 

保育者はあくまでも子どもたちが、会話のキャッチボールができるように仲介する立場として、子どもたちの対人関係や友だちと関わったり話し合ったりする機会を育んでいけるような援助をしていきたいです。

根岸 菜々子

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