進級、進学を迎え新しい門出を迎えるこの季節。子どもたちは「新しい場所でやっていけるか…」と不安もありますよね。そのため、『学校で困らないようにしてあげたい』『年長になったとき困らないようにしないと‥』など、大きくなった時に困らないよう、『あれも、これもできるようにしておかなくてはいけない』と思われる方いらっしゃる方も多いのではないでしょうか。でも、大切なのは「困らないようにする」ことよりも「困ったときに助けを求められること」と考えます。そんな、『困ったときに助けを求める』に関する、Aちゃんのエピソードです。
Aちゃんは友達や年上のお姉さんと遊ぶのがとても大好きな女の子。話すことも上手で友達や先生にも楽しかったことや面白かった出来事をたくさん話してくれます。ただ、困ったときに「困っている」と助けを求めるのが少し苦手な姿がありました。そんなある日のこと、Aちゃんはピアニカで遊びたいけれど、自分のピアニカホースが見当たりません。(前の日にピアニカ遊びをして、ピアニカホースを園で消毒をしていた)すると、Aちゃんと仲良しの年上のお姉さんBちゃんがその様子に気づき、「ピアニカホース消毒しているんだよ」と声をかける姿がありました。そして、Bちゃんが職員にAちゃんがピアニカホースを探していることを伝え、ピアニカホースを取ってもらうということがありました。ピアニカホースを渡すと「Bちゃんが助けてくれた!」と嬉しそうな様子でした。
それから数日経ってから、またAちゃんが自分のピアニカホースを探す姿がありました。すると、私の方に駆け寄り「ピアニカホースどこにある‥?」と伝えるAちゃん。今まで、困ったことを中々言えなかったAちゃんですが、この1年で少しずつ自分の言葉で困ったときに助けを求めようとする姿が見られてきました。その後、Aちゃんに「困ったことちゃんと言えたね」と伝えると、「いつもBちゃんが助けてくれるから」と言う言葉が。きっとこのAちゃんの成長の裏には、Bちゃんに助けてもらったという積み重ねがあったのだと感じました。
自分から「困った」と言えるようになるには助けてもらった経験を積むことが大切だと考えます。Bちゃんが職員に声をかけ、Aちゃんのピアニカホースを取ってもらえたという今回のエピソードのように、Aちゃんはその様子をよく見ていて、「困った時はこうすればいいんだ」と感じたのではないでしょうか。また、保育者としても子どもが伝えやすい雰囲気を作ることも大切だと思います。子どもが困っていそうな時に「自分で考えなさい」「自分のことは自分でやりなさい」と突き放すだけでなく、「困っている?」「困った時は声をかけてね」と子どもの気持ちを聞き、困っている状況を子どもが伝えやすいようにコミュニケーションも取っていけるといいなと思います。そして、「こうしたらいいよ」とアドバイスを送り、最後までできた時には「できたね」という言葉かけも忘れずにしたいですね。
一つ大きくなるこの季節。子どもも大人も新しい環境にドキドキです。『全部自分でやろうとしなくてもいい』『困ったときは困ったと伝え、誰かに頼り、上手に甘えていいんだよ』ということも子どもたちに伝えていきたいと思います。幼児組 白木達



