木月保育園のブログ「小さなもみじの物語」

「まねっこ遊びって楽しいね♡」(0歳児ひよこ組編)

2015.07.25

 長い梅雨が明け、暑い夏がやってきました!大人は、ジメジメとした湿気が嫌な梅雨の時期でしたが、0歳児ひよこ組の子ども達には、なんだか刺激的な梅雨になったようです。今日は、梅雨の間に見られた子ども達の姿を3つ紹介したいと思います。
 雨の日や外に行けない日は、0歳児〜2歳児クラスまで合同で遊んでいました。廊下に出した沢山のキャンディボールを、1歳児のAくんが、「ポーン」と両手で投げていました。それをジッと側で見ていた、まだハイハイをしているBちゃん。それまで、座ってボールを転がしていただけなのに、「あっ!!」と声をあげて両手でボールを投げました。ポンポンと転がっていったボールを見て、Bちゃんはニコニコ笑顔で自ら拍手していました。Bちゃんは、それがとても楽しかったようで、夕方の自由遊びの時間にも声を出してボールを投げることを繰り返していました。
 また別の日。
 保育室にラッパのように鳴る玩具があります。しかし4月から誰も鳴らすことが出来ず、ただ振ったり歯固めの様に遊ぶ玩具になっていました。ある日1歳児のCちゃんが、その玩具を吹くと音が鳴って、近くで見ていた0歳児の子ども達はビックリした様子。Cちゃんが居なくなった後、何人かの0歳児の子どもは試していましたが、なかなかコツが分からないようで音が鳴らずに苦戦していました。でも4月産まれのDちゃんが成功!!堂々と笛を吹くDちゃんに、周りの子も羨望の眼差しを向けているようでした。また数日あけてEちゃんも成功!!と、日に日に笛として遊べる0歳児の子が増えていきました。
 またまた別の日の午睡時間。
 皆が寝ている中、まだ寝つけなかった0歳児のFちゃんとGちゃんが保育室で遊んでいました。Fちゃんがプラスチックのボールを両手に持ちカチカチ鳴らしで遊んでいたところ、別の場所で遊んでいたGちゃんが、Fちゃんの側にやってきて近くにあったプラスチックのボールを両手に持ちカチカチ鳴らしました。Gちゃんは、Fちゃんの顔を覗くように見ながら笑顔でカチカチ鳴らします。そんなGちゃんにつられるように、Fちゃんも笑顔になって二人でニコニコとボールをカチカチ鳴らしていました。2人だけで笑顔で見つめ合いながらカチカチ鳴らして遊んでいましたが、1分くらいでFちゃんが別の遊びを始めてしまい、2人の遊びは終了してしまいました。
 この3つのエピソードの共通点は、「まねっこ遊び=模倣遊び」です。子どもは一体何ヶ月頃から模倣ができるのでしょうか?実は生後数日の赤ちゃんでも,模倣ができます。でもこの模倣は特別なもので、先ほど紹介したエピソードのまねっことは少し性質が異なります。生まれたばかりの赤ちゃんは、一人では何もできない無力な存在に感じますが、すでに他人の表情を模倣する能力をもっています。自分ではどこをどう動かせば舌が出るのかまだ分からないはずなのに、目の前でゆっくりと舌を出してみせると、赤ちゃんも同じように舌を出し、口を開けてみせればやはり口を開けるのです。不思議なことに、「新生児模倣」と呼ばれるこの模倣は生後2ヵ月ほどで消えてしまいます。生後8〜10ヶ月頃から、意図的な模倣が見られるようになります。意図的な模倣とは,子どもが模倣したいと思うものを見て、自分の手足もそれと同じように動かしたいと思い、意図的にまねをするという模倣です。その後、1歳、2歳と子どもの発達にともなって、模倣も上手になります。
 ヒトは他人と同じ経験を共有することで、 その時の心の状態を自分の心と照らし合わせて理解することが重要であるからだと考えられています。ヒトにとって模倣とは、コミュニケーションを円滑に行うための手段であり、生きていくために欠かせないものなのです。模倣は、子どもがまねしたいと思うものをじっくり観察することから始まります。模倣が、子どもの学習を支えているという学者もいます。そして、最初はお母さん中心だった模倣の対象も、大きくなるにつれてお兄ちゃんやお姉ちゃん、友達へと広がっていきます。さまざまな人と出会い、まねしたりまねされたりする経験の中で、ヒトは幅広い知識や技能を身につけ、 心を発達させていくのだと思います。
 誰かにやりなさいと言われたわけではないのに、面白そうだと思ったことを自ら模倣して学習していく0歳児ひよこ組の子ども達の姿には逞しささえ感じてしまいます。私は、もうすぐ産休に入ります。子ども達とのお別れは寂しいですが、更に沢山のことを学習して成長した子ども達に再会することを今からとても楽しみにしています!

 

中澤 明日香

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