人との関わり

「教える、教わる」

2015.02.27

もうすぐ卒園の時期ですね。この時期になると毎年思うことがあります。それは、年長児の著しい成長です。もちろん0歳児も入園当初から考えると多くの事が出来るようになり、見違えるように成長をしています。
しかし、年長児の成長は肉体的な成長や運動能力の成長だけではなく、精神面での成長が著しいと毎年感じるのです。まだまだ子どもだと思っている我々大人が、日々の成長を見落としているということももちろんあるとは思いますが、夏を過ぎたころからでしょうか、お兄さん、お姉さんになったなと感じるのです。
日常では、自分より年下の子が困っていたら、どの子もまるでその困っている子のお父さんかお母さんにでもなったかのように、手取り足取り教えてあげて、その子が最後までやり遂げることが出来るかを見届けるまで関わるのです。これらは誰かに教わるでもなく、他の子の関わりを見て自分達で身に付けているのです。
昔から、職人さんや会社でのお仕事は親方や先輩の姿を見て、それを盗み覚えていました。しかし、最近ではどんなジャンルのお仕事でも一つ一つ教えてあげないと出来ないという人が増え、マニュアルの整備は必ず必要です。いつからか子ども同士の関わりが減り、同時に人の真似をして遊ぶ(学ぶ)という経験が極端に減ってきているのです。
昨年の年長児の卒園式での立派な姿を見てきた今のぞう組の子ども達は、今年も卒園式において立派に成長した姿を見せてくれるでしょう。一番うれしく、悲しい瞬間です。

(おたよりの続き)
「勤勉性」という理論を提案しているエリクソン(Erikson, E. H.)という人がいます。そのエリクソンは、「子どもの所属している社会や文化圏で、社会的に期待される活動を、自発性を持って、習慣的にどれくらい営めるか」ということを学ぶことが必要だと言っています。そのために「そういうことが十分身につくためには、仲間と道具や知識や体験の世界を共有し合わなければならない。」といいます。また、彼は、仲間と道具や知識や体験の社会を共有し合うということは、「友達から何かを学ぶこと、友達に何かを教えること」だと言うのです。こういう経験をどれぐらい豊かにするかどうかということが、子どもの勤勉さを育む上で重要な要件であるとエリクソンは言っているのです。
ここでは、最近の子ども環境の問題点が見えてきます。それは、少子化、地域社会での連帯の欠如などの環境から、子どもどうしの世界が失われ始めています。学校においても、授業形態は、多くの時間、教師という大人からの伝達が多くなっています。今日、様々な子どもたちは、大人からしか物を学んでいないところが顕著だと言われています。エリクソンは大人からものを学ぶことに価値がないとは一切言っていません。それは勿論価値のあることですし、大切なことです。しかし、乳幼児から児童期の発達課題を十分に消化していくために不可欠の要件というのは、「友達からものを学ぶことであり、友達に自分の物を分かち与える」ことなのです。こういう経験を十分しなければならなくて、内容よりも量が大切だということも言っています。どれくらい多くのことを友達から学んだか、どれくらい多くのことを友達に与えられたかということが大切であるとエリクソンは言っているのです。
子ども同士の関わりは保育園や小学校といった場所でないと、なかなか出来なくなってきています。なので、保育園では出来る限り子ども同士が関われる工夫をしていきたいと思います。

この続きを3月15日ごろHPに載せます。

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