赤ちゃん研究

目と目で通じ合う!

2011.06.30

 あっという間に3ヶ月が経ち、新入園児からはずいぶん不安な表情が減り、その代わりに笑顔が多く見られるようになりました。初めは人見知りをいていた子達も、大勢の先生や子ども達と毎日触れ合っていく中で、「この人なら信頼して大丈夫!」という気持ちが芽生えてきたのでしょう。日々の子ども達の様子を見ていると、あちこちから子どもの視線を感じる時があります。そこで私は入園式で話した作戦・・・目で会話をするということをどの子ともやるようにしています。今ではどのクラスに行っても大勢の子ども達が目で口で話しかけてくるようになりました。このように毎日のなにげない関わりが一人一人に安心感を与え、何事にも興味や関心を持てる探究心あふれる子どもに育っていくのです。どの子も人と関われることを待っています。皆さんも多くの子ども達と目で触れ合ってみてください。

(おたよりの続き)
  人は、ある人物を認識する時、選択する時には、「顔」が大きな意味を持っているようです。赤ちゃんは、生まれてしばらくは、人の顔の区別と、猿の顔の区別は同じようにできると言われています。それが、次第に人間の顔を区別する能力だけが残り、より高度になっていくというようです。その高度になっていくということがどういうことなのでしょうか。脳科学で有名な茂木さんは、「化粧する脳」という著作の中で、「顔はそもそも呼吸し、見たり、聴いたり、食べたり、話したり、臭いを感じたりと、生きていくうえで欠かせない機能が集結した肉体の一部である。本来なら、生物学的な機能さえ果たしていれば十分なはずだ。」ところが、この機能を果たすべき各パーツは、その存在だけでなく、その形や配置やバランスも重要な役目をしているというのです。「機能以上の“意味”を付与してしまっている。性格や考え方といった、目には見えない抽象的な概念を“顔”というラベルにみいだし、人物を認識し、選んでいるのである。」そして、どうしてこれほどまでに「顔」に傾倒するのかというと、「顔の造形そのものというよりも、むしろ顔に表われる表情と心の問題が、コミュニケーションに欠かせないからではないかと考えられる。」と言っています。
 よく、親子の愛着形成が大事だと言われます。この愛着とはアタッチメントの訳語ですので、直接親子が触れ合う事で生まれてくるイメージがあります。子どもを抱いたり、子どもと遊んだり、一緒に何かをしたりすることが大切なように言われてきたところもあります。人間の脳が一番喜びを感じるのは、他人とのコミュニケーションだと言われています。特に目と目が合うことは一番うれしいことです。茂木さんは、こう言います。「目が合えば“あ、私はこの人に注意を向けられている“関心を持たれている”心にかけてもらっている」と感じ、脳が喜ぶ。このアイコンタクトは、コミュニケーションの基本である。子どもは、困ったことがあったとき、無意識に親の方を見る。その時に親がやさしく見つめ返してあげられるかどうかはとても重要だ。見つめ、見つめ返す。見つめ、見つめ返されれば子どもの脳は喜ぶ。そして愛着が生まれる。アイコンタクトで子どもは育つ。幼い自分にこうして親子間でしっかりと育まれたコミュニケーションが、人間社会の基礎を築いていくことになる。」
 子どもと一緒の時でも、ついメールの着信が入ると敏感に反応してしまいますが、子どもからのメッセージやSOSの発信に敏感になることの方が遥かに大切ですね。
                                                                                                                                                                                    この続きは7月15日(金)に載せます。

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