園長日記

2015 年 7 月 31 日 金曜日

4月当初、1歳児で主食のお米を食べられない子がいました。理由はたぶん(1歳児なので観察のみ)ご飯には濃い味付けが付けられていないからです。その証拠に、お味噌汁の中にご飯を入れて食べていたり、パンが出る時には、バターやジャムがぬってあり、食べやすくなっているからです。
 そこで職員の中で、どのようにしたらお米だけでもおいしく食べるようになるのかという話し合いが持たれました。一口ずつ大人が食べさせたり、一口だけしか食べなくても良い等意見も出ましたが、ご家庭との連携の中で、今のうちは味がついている物なら意欲的に食べているので、様子を見ていこうということになりました。
すると、始めのうちはやはりお味噌汁に浸して食べている様子もありましたが、気が付くとお米だけでも食べるようになり、今ではモリモリお米を食べています。
小さい時の好き嫌いは大人のそれとは違い、食材に慣れていないことが多いです。食材そのものの味に慣れたり、調理の仕方によっても変わります。園では、様々な事を試してみることにより、その子が何を嫌がり、何に苦労しているのかを知ることが出来ます。その理由が分かり、子ども一人一人に対応していくうちに、段々と変化がみられることがほとんどです。
言葉の発せられない時だからこそ、丁寧に関わり、今も将来も楽しく食事が食べられるように、考えていきたいと思っています。

(おたよりの続き)
「日本人のひるめし」の著者である酒井伸雄氏は、学校給食は日本人全体の食の傾向にも大きな影響を与えていると指摘しています。学校給食の献立の中で、日本全国どこに行っても、カレーライスやハンバーグなどが幅をきかせるワンパターンの給食になるのは、必ずしも子どもの要求に応えるものではないと言います。学校給食では、作る側は子どもたちが食べ残すのを少しでも減らそうとするため、子どもが残さない味付けのもの、いいかえれば子どもたちが好きな料理を中心に献立をつくろうとするからだと言うのです。結果として、ラーメン、カレーライスという事になります。そのため、かえって幅広い食べ物を食べる機会が少なくなり、新しい味に対する学習の機会が減ってきてしまっていると言います。
 学校給食では残菜をなくすことは、かなり優先順位が高い気がします。そこで、そもそも何のために給食を出すかという事を考えます。様々な食材を子どもたちが体験し、その食材を味わうために薄味にするとか、子どもが意欲的に食べるとか、楽しんで食べるとかする中で、結果的に残菜が少なくなるのであって、残菜をなくすという事は目的ではないのです。
 こんな調査があったそうです。昭和55年(1980年)に農林中央金庫が調査をした「国民食生活と学校給食」です。この調査によると、学校給食の味付けは大切であり、子どもたちのその後の好みを左右するということが分かったのです。学校給食を食べていた時代に好きだった食べ物は、大人になった現在でも好きであり、学校給食での好き嫌いと現在の食べ物の嗜好との間には強い相関がみられたのです。学校給食を食べて育った人たちは、平均的に塩辛く、濃い味付けの食べ物を好み、食べ物に好き嫌いが多く、魚離れという傾向がみられるそうです。給食世代の好きな献立は洋風あるいは中華風の料理で、魚や野菜の煮つけや酢の物など和風のものを敬遠する傾向になるというのです。
 最近の学校給食では、それが少しずつ改善されたメニューが多くなりましたので、保護者の皆様が育った時代では、この調査の結果のような傾向があるために、家庭で子どもたちが食べている物との給食や保育園での食事とはギャップがあるため、最初は残菜があるかもしれません。
 しかし、給食は子どもたちが大人になった時の食生活に影響を及ぼしていきます。しかも、その中で最も影響を及ぼすものは、味付けではなく、実は食事に対する意欲かもしれません。いやいや食べさせられた経験は、大人になっても絶対に忘れることが出来ません。楽しく食べた記憶をどの子にも持ってもらいたいですね。

 

 食育への取り組みについて8月15日ごろ載せます。

2015 年 7 月 11 日 土曜日

アメリカだけでなく、EUも理科離れの現状を危惧して、2001 年に「Science and Society Action Plan」を策定して、三つの基本的政策を提示しました。その1は、「科学技術という文化を欧州に育成すること」そして、「科学技術を市民にとって身近なものにすること」3つ目に「政策決定に科学の知識を活用すること」という内容です。このようなことを提示したのは、次のような認識があったからです。「市民が科学に対して積極的な理解を示さないこと」「女性は科学に向いていないという型にはまった考え方が女性を科学から遠ざけていること」「若者にとって科学研究の道を進むことが魅力的でなくなっており、将来、科学者や技術者の不足が危惧されること」などの認識が根底にあったからです。
子どもに科学する心を育てる施策は簡単ではありません。それは、今の子どもたちは、便利で豊かな環境の中で生まれ育ち、生活を支えている科学技術のほとんどは、自分たちの目では見ることができないため、科学技術の必要性をあまり感じなくなっているからだと言われています。このような現代の子どもに昔と同じメニューの実験をやらせて、40 ~50 年前の子どもと同じ好奇心や興味を抱くことを期待しても、それは無理なのです。
東京大学大学院教授の清水誠氏は、「20世紀は「科学する心」が必要性や好奇心から生まれてくる時代だったが、現代は子どもにとって科学への必要性が感じられず、神秘さや不思議さに好奇心を持ちにくい社会環境にあるため、20 世紀的な意味での「科学する心」はもはや芽生えにくい」と指摘しています。そこで、21世紀型の「科学する心」をどう芽生えさせるかを考えなければなりません。
例えばロボットは、今の子どもに科学技術の面白さと夢を抱かせ、その夢の実現のために理科や数学の勉強が大事ということをアピールしやすい分野であるのではないかと言われています。千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏は、「ロボットは物理や化学や数学の集大成で、ロボットを見せれば、『こんな所に数学が、こんな所に物理が使われている』といったことが見える。だから、夢のロボットをつくるために理科や数学をがんばって勉強しようというモチベーションがわきやすい」と語っています。このように、現代の子どもにとって、「科学する心」を芽生えさせるための格好のテーマを見つけていかなければならないのです。
21世紀は何をするにも難しい時代ですね。それでも、子ども達にとって最高の瞬間を与えていきたいと思っています。次回の「サイエンス」の時間も何が出てくるかこうご期待。

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