赤ちゃん研究

他者からの影響

2012.04.01

  今年もたくさんの新入園児が入園してきました。保育園は、保護者の育児支援の場として多くの方に利用していただいています。しかし、最近では少子化や核家族化の影響で、子ども達が社会を学ぶ場が減ってきています。そのような現代では、保育園は集団生活を学ぶ場としても重要な場所になってきます。また、同年齢の子ども同士の学びはもちろんのこと、異年齢の子や色々な大人からの影響もとても重要になってきます。そして、乳児期からの多くの人との関わりは、将来にも大切な影響を与えるということが分かってきました。慣れないうちの人見知りも、立派な発達の一つです。多くの人との関わりを通して、社会性と人とのコミュニケーションを学んでいるのです。泣いている我が子との別れはつらいですが、徐々に慣れて笑顔で登園出来るまでは、みんなで支え合いながら頑張っていきましょう。

(おたよりのつづき) 「自己と他者」の関係においての研究が「心の理論」としての研究が始まったころは、子どもにおいて何歳ごろからそのような行動が始まるのだろうかということについて、ほぼ4歳と考えられてきました。特に心理的な世界の理解については、3歳から4歳にかけて変化をすることが、他者が誤った信念(belief)を持っていることが理解できるかどうかというような誤信課題と呼ばれている実験でわかっています。そこで、集団における保育が必要とされたのを、4歳児からということで3歳児クラスからの保育が行われているのかもしれません。しかし、最近の研究では、「自己と他者」との関係において「模倣」や「共感」という心の動きや、行動から考えると0歳児から他者が重要な役目を持ってくると思います。ただ、この時期における他者は、子どもの周りにいる、ごく自然な社会の中に存在するものでした。また、家庭内においてもきょうだい間での関係でした。それが、現在の少子化、地域に子どもがいなくなって、自宅内には母子だけが存在することが多くなってきました。しかも、自宅内の母親は、台所で調理をし、掃除をし、いろいろな家事をこなさなければなりません。そこで、子どもだけでテレビやゲームを相手に過ごすことが多くなります。ある園に入園した子が、授乳するとき、隣でYou Tubeで動画を見せないと飲みませんという話を聞きました。入園する前は、家庭でテレビを見せながら授乳していたようです。いくら、子どもが小さいうちは母親のもとで育てるべきだといっても、自宅内に母親たった一人で育てるとなると、このような育児になる可能性は多くなる気がします。 赤ちゃんは、他者の存在を機能によって使いこなしているといわれています。遊ぼうとするときには同じくらいの発達の子を選んでいるといわれ、模倣しようとするときには少し上の子を選び、教わろうとするときにはもう少し上の子を選んでいるといわれています。子どもは、気が合うか、合わないかという個人差によって相手を選ぶこともありますが、年齢差で選ぶことも多いようです。この年齢差のある子ども同士は、家庭内でのきょうだいか、地域の子ども社会の中に存在していましたが、それも今は存在していません。そのために、今は、さまざまな年齢とも遊ぶ機会を意図して作らなければなりません。そんなことから、最近、兄弟の役割についての研究がされています。 次回は兄弟の役割について4月15日ごろ載せます。

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