木月保育園のブログ「小さなもみじの物語」

「トラブルから見えた成長」フリー編

2020.03.23

今年度も残りわずかとなりました。木月保育園では新型コロナウィルスの影響で縮小はいたしましたが、今年度も卒園式を行うことができ、23人のお友達が保育園を巣立って行きます。
今回は、卒園していく年長ぞう組さんのエピソードです。

先日、園庭でこんなことがありました。Aちゃんが使っていた三輪車をBちゃんに「守っていってね」と言ったのですが、Bちゃんは三輪車を車庫にしまってしまいました。人気のある三輪車ですから、車庫にしまってあれば他のお友達が使ってしまいます。案の定、すぐに他のお友達がAちゃんが使っていた三輪車を使ってしまいました。それに気づいたAちゃんは怒って三輪車を使っているお友達に「自分が使っていた!」と言いますが、お友達は「これは、車庫にしまってあったよ!」と言います。話は平行線。どうするのかなあと見ていたら、Aちゃんはその場から離れてしまいました。元気のないAちゃんに気づいたCちゃんが「どうしたの?」と優しく声をかけてくれ、Aちゃんが訳を話した所、Cちゃんは自分では解決ができないと思ったのか、D君を呼んできました。AちゃんはD君と一緒にもう一度、三輪車を使っているお友達のところに話に行きましたが、やっぱり話は平行線。でも、自分の気持ちを色んな子に聞いてもらって納得したのか、Aちゃんは気持ちを切り替えて他の遊びを始めました。

以前でしたら、自分の思いが通らなくてAちゃんは泣いてしまっていたと思います。また三輪車を使ったお友達の方も、自分の言葉で上手に説明ができなくて泣いてしまったり、大喧嘩に発展することもあったと思います。もちろん今も全てこんなふうに子供たちの中で解決しないこともありますが…。それでも、保育所保育指針の中にある『幼児期に育ってほしい10の姿」が育っていると感じました。幼児期に育ってほしい10の姿とは、2017年に日本の幼児教育・保育の基準となる「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園・保育要領」の改正に伴いつくられたものです。10の姿は、卒園(=小学校入学時)までに育まれる子どもの姿を、10個の具体的な視点から捉え、より明確化したものです。幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を具体的にすることで、小学校教員へ子どもの姿の共有しやすくする、という目的もあります。
まずは「言葉による伝え合い」をする姿です。今回は言い合いでしたが、相手に伝わるように工夫しながら言葉で伝え、相手の話もちゃんと聞いて理解する、という経験を重ねることで、言葉による伝え合いを楽しむことができるようになります。こうした言葉での伝え合いは、言葉を選んで伝えようとすることにつながり、相手の話を聞くことの必要性も気づかせてくれるようになり、相手と心を通わせるのに必要な力です。
次に、「道徳性・規範意識の芽生え」た姿です。友だちと様々な体験を重ねていくことで、してよいことと悪いことの違いが分かり、自分の行動を振り返ったり、友だちの気持ちに共感したりするなど、自分の気持ちに折り合いをつけながら、自分の気持ちを抑え、きまりをつくったり、守ったりするようになります。遊びや生活の中で、してよいことや悪いことが分かると、子どもは考えながら行動したり、相手の立場に立って行動したりするようになっていきます。
このような力が身についてきて、大人の力を借りずに自分たちだけで話し合いで解決しようとしたり、自分の行動を振り返って気持ちに折り合いをつけるAちゃん達の姿が見られたのだと思います。
たくさんの仲間や保育士に囲まれて培われてきた一人ひとりの力が、小学校でも役に立つものであってもらえたらと思います。

4月からは、保育園には新たな子供たちを迎えます。今いる在園児や新入園児達にも修学前までにたくさんの経験をしてもらい、力が身につけられるよう私も努力していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

フリー 中澤 明日香

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