木月保育園のブログ「小さなもみじの物語」

「ルールがあるから自由がある」2歳児りす組編

2020.03.09

りす組が幼児組に移行してきて早、一か月経とうとしています。まだ、一か月という事で戸惑う姿もありますが、幼児組の新しい環境の中で、少しずつ自分の好きな遊びを見つけ楽しそうに遊ぶ姿が見られます。遊びに夢中になりすぎて、片づけをせず次の遊びに移ってしまうことも…。そんな時幼児組のお兄さん・お姉さんが「片づけしてからだよ」と教えてくれたり、「ビー玉は一人1個だよ」「(ウォーターサーバーの前で)ここに並んで待つんだよ」「展示棚のものは見るだけだよ」等と、おもちゃの使い方や生活のルールも教えてくれる姿も多くみられています。幼児組に移行した今、りす組の子ども達は幼児組で生活するルールに出会い、ルールがあることを気づいている途中ではないのでしょうか。

先日、職場の先輩方や同僚と子ども達のルールについて話をする機会がありました。その中で「ルールを守ることで自由がある」という言葉がでてきて、その言葉が引っ掛かりました。「ルール」と聞くと「めんどくさい」「ない方がいい」と少しネガティブな印象を持つ人もいると思います。しかし、どの場所にもどの世界にもルールは存在します。もちろん、子どもの世界にも”ルール”が存在します。何故ルールが存在するのでしょうか??

最近、こんな事がありました。幼児組に移行し様々なものに夢中になっているりす組の子ども達。中でも、自分でボタンを押して水が出てきて、自由に水が飲めるウォーターサーバーには興味津々です。そんな中、A君がコップに水を入れすぎて床に水をこぼしてしまう出来事がありました。すると、後ろで並んでいたきりん組のBちゃんが「溢れちゃったらそこの雑巾でふくんだよ」と優しく教えてくれたのです。A君は「そうなのか~」という表情で、雑巾をとってきて溢れた水を拭いていました。

幼児組の設置してあるウォーターサーバーは、喉が渇いた時にどのクラスのお友達でも自由に飲むことができます。もし、ウォーターサーバーの前が濡れてしまっていたら、次に使うお友達はどう感じるでしょうか?きっと嫌な気持ちになると思います。他にも、幼児組には自分の作ったものを飾ることのできる展示棚という物があります。その棚には、作ったものが完成した時に他の人に見てもらう為に展示棚に飾ってあるのです。もし飾ってあるものを「面白そう!」と思い勝手に遊んでしまったら展示したお友達はどんな気持ちでしょうか?悲しい気持ちになってしまうはずです。水をこぼしてしまったらその都度拭くルール、お友達が作って飾ってあるものは見るだけで触ってはいけない。等の細かいルールがあります。ただ、そのルールを守ることで自由が守られると考えると守る大切さは理解することができます。子ども達が過ごしている保育園という環境では、子ども達が自由に遊べ、好きなことができるものがたくさんあります。1人で生活しているのではなく他のお友達と一緒に生活をしています。子どもたちもお互いが自由に好きな事を楽しむために”ルール”というものが存在しているのだと思います。

イギリスの哲学者、J.Sミルは「自由論」において、「自由の名に値する唯一の自由は、我々が他人の幸福を奪い取ろうとせず、また幸福を得ようとする他人の努力を阻害しようとしない限り、われわれは自分自身の幸福を自分自身の方法において追及する自由である」と、述べています。この文章は「少なくとも他者の自由を尊重し、勝手な振る舞いはしない程度の責任は、必ず負うべきと」という意味でも解説されています。

まだまだりす組はルールを完全に理解することが難しいと思われる年齢でもあります。しかし、幼児組に移行し幼児の環境で生活していく中で、お兄さん、お姉さんに教えてもらうことや、お兄さん、お姉さんの様子を見ながら、幼児組のルールを覚えていってほしいと思っています。そして、成長していくにつれて、自由に遊ぶための”ルールの必要性”や”ルールを守る意味”なども知っていけるといいと思っています。

 

 

 

 

 

りす組 小池 達哉

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