木月保育園のブログ「小さなもみじの物語」

「楽しみ方はひとつじゃない」幼児組編

2019.06.03

幼児組では、朝の会が始まるまでの時間、ホールでも遊ぶことができます。ホールでは、大縄跳びや鉄棒など運動器具に挑戦したり、独楽回しをしたり、ボールで遊んだりと体を動かす遊びもできる場です。

今、ぞう組さんを中心にドッチボールもどきが盛り上がっています。なぜ『もどき』なのかというと、外野はなく内野のみで、ボールが当たると、ゲームが終わるまで外で応援という、子どもたちが考えたオリジナドッチボールだからなのです。毎回、子どもたちは自分達でどっちのチームに入るか決めて、ボールを投げ合っています。最初は、当たった当たってないのケンカもありましたが、今はだいぶやりとりも上手になり楽しめるようになってきました。

ある日、いつものようにドッチボールを楽しんでいる子どもたちがいました。最初は4人から始まり、そこに『い~れ~て』と楽しそうなのを見て参加する子が増えていました。少ししてからまた見に来ると、ドッチボールをしてる横、陣地を分ける線のところに、丸太を重ねて、その上に立っているぞう組のAくんがいました。Aくんは、普段、ドッチボールに参加することはなく、ボール遊びなどよりもブロックなど作る遊びが得意な男の子です。盛り上がってるから興味がわいたのかな、と見ていると、Aくんは投げ合う友だちをそこからずっと見ていました。困っている様子はなく、ニコニコしています。Aくんに聞いてみると、とても誇らしそうに『ぼくは審判をしてるんだよ』と教えてくれました。『ぼくが「はじめ!」って言ったら、始まるんだ』と、最初の合図を出すと、あとは一回のゲームが終わるまで、そのまま見ています。

遊び、特にゲームというと、ゲームに入って楽しむと考えがちですが、Aくんはまた違った面からドッチボールというゲームに参加することを楽しんでいたのでした。

このAくんの中には、さまざまな発達が合わさって見られます。

まだ子どもたちだけでは成り立たない時期に先生が進行する姿などに興味を持った『言葉』。

さまざまなスポーツで見られる審判の姿をAくんなりに考えた『表現』。

あまり得意ではない運動という分野に興味を持てたのは、自然と審判を受け入れてもらえる、また受け入れてくれたAくんと子どもたちの『人間関係』。

これらが上手に合わさって、Aくんの興味や遊び、社会が広がっていることを感じました。Aくんにとって、少し苦手な運動的な遊びも、こういったとっかかりから変化していくように思います。することにだけに重きを置くのではなく、さまざな形で関わろうという子どもたちの姿を大切にしながら、今だからできる経験をこれからもたくさん積み重ねていってもらいたいと思います。

 

 

 

 

幼児組     坂本 摩利

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