木月保育園のブログ「小さなもみじの物語」

「関わりの大切さ」(2歳児りす組編)

2017.05.08

 2歳児クラスに進級して1ヶ月が経とうとしています。事前に部屋を移っていたこともあり、担任が変わっても変わりなく過ごすことが出来ています。友だち同士の関わりがより一層濃くなっているのを感じます。園庭で友だちと手を繋いで散策したり、一緒に虫探しをしたり、お部屋で一緒にブロックを作ったりする姿が見られます。仲良く遊ぶこともあればその分トラブルが起こることも多いです。先日の出来事です。
 Aちゃんは一生懸命ブロックで大作を作っているところでした。隣にいたBちゃんは大作を一緒に作りたかったようで何も言わずにブロックを重ねようとしました。でも、Aちゃんは一人で作りたかったようで「やめて!」と言います。Bちゃんはどうしても一緒に作りたいので黙ってブロックを重ねようとし続けていました。私が「一緒にやっていい?って聞いてみたほうが良いんじゃない?」とBちゃんに話をするとBちゃんは「一緒にやっていい?」と聞きましたがAちゃんの答えは「だめ!!」でした。そのやりとりを一部始終見ていたCちゃんが横にいました。するとCちゃんが「Bちゃん、自分で作れば良いんじゃない?」と話をし始めました。それでもBちゃんは首を横に振ります。Cちゃんは考え始めてその後Cちゃんもブロックを作り始めました。そしてBちゃんに「良いよー」と言いました。Cちゃんは自分の作ったブロックならBちゃんも一緒に作れるよと誘ったのです。そのCちゃんの言葉でBちゃんの気持ちは切り替わり、楽しくブロックで遊び始めることができました。
 私はこのやりとりを見てCちゃんの友だちの気持ちを考える力に驚かされました。まずは、Aちゃん、Bちゃんのやりとりを見て考え、その後私も加わったときのやりとりを見て考え、CちゃんなりにどうしたらAちゃん、Bちゃんが楽しく遊べるか考えて行動に移したんだと思います。Cちゃんがこの行動が出来るようになったのは、Cちゃん自身も友だちとトラブルがあったり、保育士に言葉をかけられたりしたことを経験したからだと思います。また、友だちがトラブルを起こしているのを見てきたからだと思われます。その経験を積み重ねて友だちの気持ちを考えたり、言葉を発したりすることが出来てくるようになったのですね。
 大人は常に仲良く遊んでほしいと思ってしまいがちですが、人間関係を築くには「相手の気持ち」を推測したり、自分の気持ちを上手に伝えたりすることが必要です。これはお友だちとのおもちゃの取り合いやたたき合いなどの小さなケンカ・トラブルをたくさん経験することで身に付いていくものです。「自分の思い通りにならない」ことや「たたかれたら痛い」といった気持ちを身をもって学ぶことで、相手の立場に立った考え方や思いやりが育まれるのです。つい「お友達とトラブルを起こさないように」「仲良くできるように」などと先回りしてトラブルを防止してしまいがちですが、これでは人間関係力は伸びません。人間関係力は小さいうちから多くの人と関わっている子の方が育まれやすいといわれます。その点からも保育園でのトラブルの経験を大事にしていこうと思います。
 まだまだ上手く伝えられない2歳児の子どもたち。大きな心で見守っていきたいですね。

広瀬 美穂

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