木月保育園のブログ「小さなもみじの物語」

『小さな優しさ』(1歳児あひる組編)

2015.10.17

 日中、忙しく鳴いていたセミの声が、夜の静かな虫の声と変わってきました。ひとまわり逞しくなったあひる組は、以前より活発に体を動かし、園庭遊びでは、挑戦する遊びの視野も随分広がってきました。
 ちょっと怖くてへっぴり腰になっていた段差からのジャンプや、太鼓橋の登り降り、ジャングルジムにも積極的に挑戦しようとする姿が見られ始めました。また、室内での遊びにも、視野の広がりが見られてきました。今までは『人形をおんぶする』という格好がしたかっただけのようでしたが、最近では、人形を赤ちゃんのように優しく世話するという遊びに変わってきているようです。胸に抱いて『ヨシヨシ』とゆらしてみたり、ベッドに寝かせて布団をかけ、トントンしてあげたり…
 そんなある日の出来事です。クラスに『ジョージとマイケル』という人形があるのですが、何故か皆、服やパンツを脱がせてしまうのが好きで(笑)、この日もジョージがパンツを履いていませんでした。『誰かー、ジョージくんのバンツ、履かせてあげてー?お尻出して、可哀想よー』と私が言うと、Nちゃんがジョージのパンツを探し出して履かせようとしてくれました。(写真)その後です。Nちゃんがパンツを履かせるのに苦戦していると、私の声をどこかで聞いていて、苦戦しているNちゃんの様子に気付いたYちゃんが、そっと近づいて、一緒にパンツを履かせようとし始めたのです(^_^)その寄り添う姿が本当に、可愛くて、ついカメラを向けてしまいました。IMG_1754

 4月から、ひよこ組(0歳児)と一緒に関わっていく中で、今までは『自分より小さい子』に対する接し方が、よくわからないような戸惑いの様子が見られていました。でも、関わりが増えていく毎に、少しずつどう気持ちを伝えたら良いかがわかってきているような優しい表情も見られるようになってきました。
 この年齢の子ども達は、『イヤイヤ期』が始まり、自分の思い通りに行動したかったり、周りにもそれを要求したり、それが通らないと気がすまなかったりといった、自己中心的な感情が大きく芽生えてくる時期です。しかし、その気持ちがハッキリ芽生える前の段階から、年下の小さい子が、自然に自分の生活の中に存在することで、少しずつ自分より小さい弱い者という感情が芽生えていき、同年齢には自我をぶつけてしまうけれど、年下の子には、優しく拒否をしたり、我慢したりと、気持ちの表現を調整するようになってくるのです。
 最近では、ひよこ組の子に接する際は、そっと横から覗き込んで、話しかけるような姿も見られるようになりました。初めは小さな優しさから、少しずつ、大きな優しさへと成長し、それが思いやりや、気付きへと繋がっていく事を実感できる、とても心が温かくなる一場面でした。
 まだまだ小さいと思っていても、子ども達の中では、少しずついろいろな感情が芽生えきています。普段はいたずらばかりしていたり、言う事を聞いてくれない、と思うこともあるかもしれません。でも、ふ、とした瞬間に、小さな優しさを感じられる場面があると思います。その小さな優しさを見逃さないように、そして、その小さな優しさを大きな感情へと成長出来るように、日々、子ども達とのコミュニケーションを深めていきたいと思っています。

中谷美帆

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