木月ほほえみ保育園のブログ「そこはっ!ほほえみっ子」

絵本から広がる食の楽しみ (1歳児クラス・すくすく組編)

2022.02.18

食べることは子どもたちにとって日常的で、身近なことの一つです。絵本にはそんな食にまつわるものがたくさんあります。今回はすくすく組さんに人気の本をご紹介します。

『おやおや、おやさい』
妙にリアルな野菜の絵なのに、顔はかわいい。そのギャップがかわいい、おやさいたちのマラソン大会のお話です。
「りっぱなパセリはつっぱしる」「はくさいはくしゅはてれくさい」などなど、リズムカルで楽しい言葉は子どもたちに大人気です。

こんな事がありました。
給食のおかずを指し「これなぁに?」と保育者に聞くAちゃん。わかりやすく親しみを持てるように伝えたいと考え、午前中に読んだ『おやおや、おやさい』の話を再現してみました。
「ニンジンさんだよ。えっほ、えっほって、走ってたね。Aちゃんも、えっほ、えっほって走るの好きだよね~。」と言葉をかけると、ぱくっと一口。そのやり取りを見ていたBちゃんが「Bちゃんもじんじん(ニンジン)すきー!」と、ぱくり。周りの子もどんどんニンジンを食べて、その日の給食はニンジンが主役のようでした。

おやつの時はこんなこともありました。
この日のおやつはカボチャ入り蒸しパン。Cちゃんが蒸しパンに入っているカボチャを指さし「これなぁに~?」と尋ねてきました。「かぼちゃがはいっているんだよ。」と答えますが、ピントきていない様子、しかも見たの色から判断して食べたくない。私は食べません!とアピールしているかのようにお皿に置いたまま手をつけようともしません。そこで、おやおや、おやさいに出てくる『かぼちゃのぼっちゃん、かわにぼちゃん』のかぼちゃだよ。と説明をすると、目を大きく見開き、「かぼちゃ~~!ぼっちゃんだ!」と大喜びのCちゃん。Cちゃんだけでなく、子どもだちは、かぼちゃが川に落ちるシーンとセリフが大好きなんです。毎回「ぼちゃーん」と言いながら川に落ちるマネをするほどです。
このことがきっかけで、すっかり気持ちも切り替わり「かぼちゃのぼっちゃん、かわにぼちゃん」と言いながら、カボチャだけを取り出し、食べてくれました。また手が止まった時には、「かぼちゃの・・・?」と声を掛けると、にや~と笑い「ぼちゃん!」と元気に言いながら、またカボチャを一口ぱくり。この日はぼっちゃん効果もあり完食でした。
楽しい印象があるとお野菜も美味しく感じるようですね!

食に関してはお悩みが多いようで心配される保護者の方から「全然食べなくて…」、「好き嫌いが多くて困っている」というお話を聞くことがあります。
「ピーマン嫌い!」「食べたくない!」という意思表示ができるということは、自我が発達し、自己主張ができるようになってきたという証拠であり、好き嫌いが出てくるのはごく自然なことです。
好き嫌いの対処のポイントとしては、「無理には食べさせない」、「食べさせる」のではなく、あくまでも子どもたちの「食べてみようかな」という気持ちを引き出してあげ、楽しんで食事を摂る。という事が挙げられますが、【味蕾(みらい)】が好き嫌いの原因になっていることがあるかもしれません。

私たちは舌にある味蕾によって味を感じますが、子どもは大人の3倍の味蕾があると言われています。味覚感度も大人の3倍ということになります。大人にはそれほど強く感じない苦味や酸味でも、子どもにとってはかなり強く感じ「ペッ!」と吐き出してしまうことがあるほどです。

1歳半頃になるとは、実物のカボチャを見て、絵本に出てくるカボチャと結びつけることができるようになってきます。

園では、絵本を通して野菜や果物、料理に接し、食べ物への興味を持つこと、苦手なものでも少しずつ距離が縮まるよう意識をして関わりをもっています。
例えば、給食がカレーの日は、『カレーライス』の本を読んで、食材の色や形やどんな味かな?とクイズをしたりします。

その後は、実際におままごとでカレーライスを作り、給食への期待を膨らませていきます。

待ちに待った給食の時間がやってくると、まずは嗅覚から刺激され「いいにおい」「やったー!ほんもののカレーだ」「にんじんはいってたよ」など絵本で見たものと実際のカレーを見比べて先生にたくさんお話ししてくれます。そんな日は、給食の進みがとても良く完食したり、完食まではいかなくても普段より食べてくれたりします。

子どもは一緒にやったこと、自分が関わったことについて興味を持ってくれることが多いです。そういった意味でも絵本は、食に対してポジティブな気持ちを生み出すきっかけとなり、たとえ苦手な食材だったとしても「どんな味かな?」「食べてみようかな」という気持ちを引き出してくれたりと、子ども達の発達にはかかせないツールとなっています。

今回ご紹介した本以外にも、食べる楽しさに出会い「食べてみたい!」という気持ちを育むことができる絵本がたくさんあります。もし好き嫌いや食事の事でお困りのことがありましたら、是非ご相談ください。

お勧めの絵本と共にお話させていただきます。ご家庭でも絵本から広がる食育、ぜひお試しください。

山野

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