食育

「パン給食」

2015.09.12

   アメリカのパン食へのキャンペーンにより、確実に人々の間に浸透していったのです。それが、いかに浸透していったかの例を、酒井さんは紹介しています。それは、昭和33年(1958年)の朝日新聞連載漫画「サザエさん」の一コマです。夕食の食卓を囲んで、フネが波平にご飯のお代わりの盆を差し出しながら、「アラ、たった1ぜん?」と問いかけるのに対し、波平は「いらない。米食は長生きしないらしい」と答えている場面があるそうです。
      さらに、酒井さんはこんなことを指摘しています。米飯はそれだけでもおいしく食べることができますが、小麦粉は基本的においしくない食べ物で、小麦粉だけではとても食べることができません。そんなわけで、小麦粉を食べる場合には、イーストの発酵によって香りをつけてパンにしたり、麺に加工して汁の味で食べるなど、小麦粉プラスなんらかの香味という形で食べざるをえないのです。米と小麦の両方が収穫できる地域では、世界中のどこでも、経済的にゆとりが生まれてくれば、価格とは関係なく必ず小麦粉食から米食へと消費が移っていくと言います。このように世界的な食生活の推移を見ても、小麦粉食から米食へ転換する地域はあっても、いまだかつて米食から小麦粉食へ転換した地域や民族はないと言います。
広く普及している学校給食は、アメリカの食糧戦略の上に成り立ったものだったのです。その結果、現在では米飯給食の機会がふえたとはいえ、いまだにパン食から抜け切れない学校給食によって、世界の食文化史上に類をみない食生活変換の実験が進行中だという事になります。
   川崎市でも近い将来、中学校での給食が実施されるということになっています。しかし、その内容は、業者の委託や従来通りの小学校給食をモデルとした献立になる事が検討されているようです。いつになったら、戦後のアメリカ指導で行われてきた給食からの変換が行われるのでしょうか?まだ間に合います。川崎市も、米飯から給食を見つめ直すという機会を作ろうという人が出てくると良いなと思っています。

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