園長日記

2015 年 1 月 30 日 金曜日

1月より2歳児のりす組の移行が始まりました。1週間ごとに1グループずつ3,4,5歳児のお部屋で生活を初め、そのまま幼児としての活動にも加わっていきます。りす組では移行までは生活習慣の自立をめざし日々保育しています。それは、2歳児頃になると自我が芽生え、子どもからやりたいという気持ちが出てくるからです。また、この時に身に着けた力が幼児組のお部屋に行った時に役に立ちます。
ただし、そうは言っても新しい環境で、大勢の子ども達が生活している幼児のお部屋では、圧倒されてしまう子もたくさんいます。そのような時に頼りになるのは、年長組のお兄ちゃん、お姉ちゃんです。キョロキョロと困っている子がいると、すかさずヒーローのようにやってきて、その子をピンチから救いだし、また元の場所へ戻っていきます。かっこいいですね。このように移行をきっかけに、2歳児は多くの人にやさしくされる経験をし、信頼関係の元である自律性を発達させていきます。
「自立」と「自律」の芽が出てくるこの時期の2歳児の育ちを大切に保育をしていきます。 

(おたよりの続き)
日本では、同じ発音である「自立」と「自律」をよく併用して使うことがあります。この二つの力は子どもに求められる力ですが、この関係はどのように研究されているのでしょうか?また、幼児教育を語るうえで、「自立」は重要課題です。欧米の幼児の保護者に、どのようなことを子どもに臨むのかという問いに対して、90%以上は、即座に「自立」と答えます。日本では、「やさしさ」とか「思いやり」「元気な子」などを望むことが多いような気がします。それは、園目標にもみられます。よく見られる園目標に、「優しい子」「思いやりのある子」「人の気持ちがわかる子」「元気な子」のような項目が並びます。しかし、どうしてもこれらの項目は、道徳に結びついてしまいます。
文科省が出している「心の東京革命」のルールのトップにくるのは、「毎日きちんとあいさつさせよう」というものです。挨拶をすることは大切ですが、本当は、「毎日大人は子どもに挨拶しよう」にしたらどうかと思いました。そのほうが、子どもが自発的に挨拶するようになると思うからです。
子どもがごく小さいときに、経験として大人をモデルとして、他者への信頼を築いていきます。自分に挨拶される、自分に優しくされる、自分の気持ちをわかってもらえる、そんな経験が他者への信頼関係を作っていきます。その後、その信頼関係の元、自律性を発達させると言われています。他者と信頼関係が築かれると、例えば、あいさつしなければならないという自律性が生まれてくるのです。そして、自律性が達成されると、次の段階の肯定的なパーソナリティ傾向である自発性が開花してくると考えられているのです。すると、自分から、挨拶しようという気持ちになるのです。させられてももちろん挨拶はするようになるでしょうが、そこには、心がこもらないようです。
「心を育てる」という言葉はよく聞きますが、小さいうちからの関わりをしっかりと持ち、「自立」と「自律」の二つの基盤を身につけていかないと、「社会性」が身につかず、心は育っていかないのかもしれませんね。

 

2月15日ごろこの続きを載せます

2015 年 1 月 15 日 木曜日

   このゾーンは、フロー (Flow) ともいい、20世紀を代表する心理学者の1人であるミハエル・チクセントミハイによって提唱された「人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態」をさします。この概念は、「日常生活の心理学に関して、今世紀最高の研究者」とも言われています。彼の研究の中核をなす「フロー体験」とは、自分自身の「心理的エネルギー」が、100%、今取り組んでいる対象へと注がれている状態を表します。
   私は、この概念に初めて触れたとき、赤ちゃんが生活の中で行う行動、子どもたちが遊びの中でみせる状態は、まさにこのゾーン体験であり、フロー体験をしている気がします。それは、自らの能力に対して適切な難易度のものに取り組んでいるからで、フロー体験の条件に、1つ目は「取り組んでいる内容が、自分の能力と照らしあわせて難しすぎず、簡単すぎずであり、全能力を出しきることを要求されるレベルにあること。そして、それをやり通すことによって、その自分の能力が向上するような難易度であること。」があるからです。
   次の2つ目の条件は、「取り組んでいるものに対して、自分でコントロールできるという感覚、可能性を感じていること。」があります。ドイツの乳児保育園の話しを聞いた時に、赤ちゃんにとって危険と思われる石を積み上げた山がありました。それに対して園長に、「この石の山は、赤ちゃんにとって危険ではないですか?」と聞いたところ、「赤ちゃんは、自分でコントロールできるところまでしか決して登りません。もし、保育者が抱っこして上にあげるとか、手を出す用意をしていると、自分の能力を超えたところまでやってしまいます。子どもに任せたら、今まで、一度も怪我はありません。」と答えたと言います。
 3つ目は、「取組んでいることに対して、即座に“それは良いか、よくないか”というフィードバックが返ってくること。」があります。子どもたちは、理屈ではなく、自分自身の内面の感覚で良い悪いを感じています。周りが、それに念を押すかのように中止をしてしまうと、人の判断にゆだねてしまうことが多くなり、内面的感覚を失ってしまいます。最後に4つ目は、「取組対象以外のことが自分に降り掛かってくることがなく、対象にのみ集中できること。」ということがあります。子どもの遊びには、邪念や雑念がありません。そんな時に、口を出してしまうことで、集中が途切れてしまいます。
これらの要素が満たされると、自分の「心理的エネルギー」は、よどみなく連続して、100%その対象に注ぎ込まれるようになり、これによりとてつもない集中と、楽しい感覚が生み出されるような状態を「フロー体験」と呼びます。
 このゾーン体験やフロー体験を日々の中で子ども達が経験するには、物や空間だけではなく、関わる大人の関わり方も大切なのですね。これらの体験が出来る環境をこれからも提供できるようにしていきたいと思います。

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2015 年 1 月 1 日 木曜日

   皆さん明けましておめでとうございます。今年も皆さん方と共に子ども達に対してより良い環境を提示できるように、また、子ども達の育ちを共に学び合えるようにという思いをこめて、このブログを載せていきたいと思っています。どうぞ今年も1年よろしくお願いします。
   先日、幼児組のコーナーが突然変わりました。環境が変わることは子ども達にはとても大きな影響を与えます。保護者からも環境が変わると「どうして変えたんですか?子ども達が戸惑うのでかわいそうです」っと言われることがあります。環境が変わり子どもに影響があることは確かですが、それは悪い影響とは限りません。環境が変わり良い影響があることも多くあります。当然、職員も子ども達の姿を見ながらより良い環境にしたいと考えています。以前から積み木がとても人気があり、どうにかして広げられないかという相談をずいぶんと前から受けていました。そして、今回幼児からその悩みを解決できる環境を思いついたということで、環境を変えることにしました。
 この環境が子ども達に良い影響を与えているのかそうでないのかは一目瞭然です。今まで以上に集中して、没頭している子ども達の姿は何よりもの証拠です。
 今までは、コーナーとして遊びを分けて環境構成をしていましたが、先日、職員みんなと受けた研修では「ゾーン」という新たな提案がされていました。今後はこの考えのもと環境構成をしていこうと思っています。
(おたよりの続き)
   先日受けた研修で、「ゾーン」という環境構成の新たな提案がされました。子どもたちが自分がやりたいことに熱中する場所を言います。同じように保育室を区切った場所を「コーナー」と呼ぶこともあり、アメリカなどは「子どもたちの興味関心の向く場所」というような意味で、「Interest Center」と呼んでいます。その中で、ゾーン(ZONE)というのは、区域とかいう意味ですが、他に「集中・没頭しているときの心理状態。」を指す言葉としても使われます。我を忘れて一つのことに取り組んでいる状態のことです。運動選手の間でよく使われる言葉で、「ゾーン体験」というように使います。ゾーン体験とは、スポーツ選手が、極度の集中状態にあり、他の思考や感情を忘れてしまうほど、競技に没頭しているような状態を体験する特殊な感覚のことです。それは、単に調子がいい、とても集中している、というだけでなく、「心と体が完全に調和した無我の境地だった」「体が勝手に動き、苦痛を感じなかった」「試合をやっている自分を上空から眺めていた」など、選手にとって「何か特別なことが起こった」と感じさせるような感覚です。他の思考や感情を忘れてしまうほど、遊びに没頭しているような状態を体験する特殊な感覚のことです。この「ゾーン」体験は、子どもたちの力を最大限に引き出してくれますが、それだけでなく、この体験は子どもたちにとって、遊びの喜びと生きる喜びが一つになる、とても幸福な体験でもあります。その幸福感、充実感は、結果以上に、「遊びって素晴らしい!」、「もっともっと続けたい」と思えるモチベーションとなります。
   新しく変えた園の環境もこの「ゾーン」になると良いなと期待しています。

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1月15日頃「ゾーン」についてもう少しHPに載せます。