赤ちゃん研究

視線からの学ぶこと

2013.06.15

 先日の「視線追従行動」を、人はなぜするのでしょう?千住淳さんは「社会脳の発達」の中で、こう言っています。「ひとつの重要な機能として考えられているのは、社会的学習です。それは新しいものの名前を学ぶためには、大人の口から発せられる言葉(名前)と、名前が指し示すものを結びつける必要があります。しかし、環境の中にはさまざまなものがあるため、言葉がどれを指すのかを判断するためには、さまざまな手掛かりが必要となります。乳児は、こういった言語学習を行う際、言語学的な規則や統計学習など、さまざまな計算を行っていることは知られていますが、そういった手掛かりの一つとして、発話者の視線が使われている」ということです。乳児がどのように学んでいるのかがよく分かりますね。乳児の頃の社会的学習メカニズムは、自分に注意を払い、積極的に色々なことを教えてくれる、両親や祖父母、そして、保育園の先生などから学習するという機能に特化していると考えることができるようです。
 しかし、乳児が視線を読む対象は、常に自分のことを気にかけ、丁寧に教えてくれる大人ばかりではありません。実際の現場では、わかりやすい、丁寧な言葉や目の動きをしてくれる相手ではなく、相手が何かに気が付き、とっさに動かす、かすかな動きを理解をして、視線から相手の行動を読むということをしているのです。この場面で重要なポイントを千住さんはこう考えています。「相手の視線が何を指し示しているのか、という視線方向に関する理解だけでなく、相手が何を見ているのかという“見る―知る”という心の働きに関して理解する能力です。」
   このように赤ちゃんは色々な情報を視線を通して吸収し、成長していきます。凄いですね。たくさんの大人と関わることで、学んでいけるということは、小さい頃から保育園という社会を経験することがとても大切だということなのですね。

top