赤ちゃん研究

発達の理解②

2012.06.15

 最近の保育指針や教育要領では、発達段階という捕らえ方はしなくなりました。発達というのは、階段状に、右肩上がりで、分けて行われるのではないからです。ニュージーランドにおける乳幼児カリキュラムに「テファリキ」というものがありますが、そこでは、カリキュラムは、子どもの包括的な発達を反映するべきであるとしています。その具体的な内容として、まず、「エンパワーメント」を挙げています。つまり保育カリキュラムは、「子どもに自ら学び、成長するための力と、“権限”を与えます。」としています。2として、「発達の全体性」が挙げられています。子どもの学びや成長の歩みは、分類できないことと理解し、保育に生かします。たとえば、一つのことに熱中していても、そこから世界を広げ、必要なことを身につけていっているとしています。ここでは、発達は、階段状に上っていくわけでもなく、らせん状に上っていくのでもなく、放射状に広がっていくという概念を持っています。
 しかし、その発達に影響するものとして「家族と地域社会性」が挙げられています。それは、絶対的なものではなく、家屋や地域社会などのように広い社会は、保育には不可欠な一部と捉えるのです。町で見た消防自動車は、保育のカリキュラムのもととなるのです。それは、すなわち、発達に影響を及ぼすことができる可能性を持っているのです。そこで、影響を及ぼす環境となるためには、その物との「関係性」が重要になります。子どもは、人、場、ものとの応答的、かつ対等な関係を通じて学んでいくからです。
 発達に関するいろいろな考え方がさまざまな人によって提案されました。しかし、その説も脳科学によって証明されるものもあり、否定されるもの、疑問視されるものもあります。そこで、もっとも最新の考え方と、その地域による特性を考慮してテファリキのような発達を基にした保育カリキュラムを日本でも作ることが必要のような気がします。国として制度やお金のことも大切ですが、子どもの育ちについて国会の話題に上がるといいなといつも思っています。

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