園長日記

2012 年 5 月 31 日 木曜日
 子どもは十分に愛情を満たされると少しずつ色々な事に興味を示し始めす。そして、気が付くと大人にとってはしてほしくないことを始めるようになります。大人はそれを「イタズラ」と言いますが、そのイタズラは、実は子どもからすると、今一番興味があり、かつ、発達にとって一番必要な運動なのです。  木月保育園の0・1歳児のお部屋にはそのイタズラが出来る手作りのおもちゃがあります。それは乳児の発達においてとても重要な「運動」を満たしてあげるためです。つまり、握る・つまむ・引っ張る・たたく・落とす等の運動が出来るように環境を用意しているということです。小さいうちは「ダメよ」と言ってもなかなか理解できませんが、 「こっちならいいよ」と言って欲求を満たしてあげると、飽きるまで遊びます。  子どもの発達にとって必要な事とは実はシンプルな事なのかもしれませんね。 (おたよりのつづき)  子どもに何をしてあげればよいか?それは、子どもからの欲求に適切に答えることで達成できることが多いです。赤ちゃんは自らの欲求を言葉で表すことはできません。もちろん、言葉ではない方法でもその欲求を知ることはできますが、あわせて、発達の特性を知っておく必要があります。そうでないと、筋力が育たないころに、小学校で行う体育のまねをして、たとえば逆上がりなどさせたところで、まったく目的が変わってしまうのです。(逆上がりは勢いで回るのではなく、筋力を使って回るのが原則)子どもの発達は、均等にしていくものではなく、発達が起きる部位によって伸びる時期と、しばらく止まっている時期とが繰り返されるのです。これが「発達の異速性」といわれているものです。発達が起きる部位によって速さが異なる性質の事です。身体発達の場合、主に筋肉や脂肪などの組織細胞が充実して発達する時期を『充実期』といい、骨が伸びる時期を『伸長期』といいますが、それらは青年期に至るまで交互に起こります。筋肉と脂肪の増加充実によって体重が増加し、骨の伸長によって身長が伸びるという発達が観察されます。このような発達の知識を知らないと、無駄なことをするだけでなく、発達過程における相応しい育ちを間違って認知してしまい、無理な訓練による体の酷使は、正常な発達を妨げたり、性成熟に障害をきたしたりします。  発達が、遺伝的要因と環境的要因があるにしても、それぞれがどのような作用をするかということは別としても、発達には、順序性や連続性に従って起こる停止することのない一定の型・規則に基づく連続的な変化であることには間違いありません。しかし、順序を追って、連続して起きる発達は個人差によってその時期やスピードが違うだけでなく、それぞれの発達への準備の過程があることも忘れてはいけないと思います。その準備における環境が、次の発達に影響していくのです。  一口に「発達を理解する」と言ってもとても難しいことですね。ですから子どもからの欲求に適切に答えてあげるということを、大人の都合抜きにして、真剣に考えてほしいと思います。無理な運動や早い時期からの習い事よりも、等身大の今の姿をしっかりと見てください。

次回は6月15日ごろ載せます。

 

rimg0311
2012 年 5 月 11 日 金曜日
 我々は脳のほんの一部しか使っていないといわれていますが、それは、将来いつか予期せぬ環境に出会ったときに、スムーズに対応できるための一種の「余裕」とも言われ、また、使いこなされている脳の能力のリミッターは脳ではなくて体にあるともいわれています。人は、感覚によって得られた情報を知覚し、身体運動との相互のやり取りによって認知能力が増していくのです。  運動といっても、大きく二通りあります。この二通りの運動の移行が、発達に影響を及ぼし、そのスムーズな移行が保育の大切な課題になります。赤ちゃん特有の運動に「原始反射」という行動があります。この反射は、新生児や乳児に見られる、外からの刺激に対して意識の関与なしに起こる「無意識の運動」です。これは、「不随意筋」と呼ばれる筋力の作用です。赤ちゃんの手に触れると、その指を握ります。その行為は、赤ちゃんが無性にかわいく思える行動ですが、実は、握り返してくれているわけではなく、「把握反射」と呼ばれている無意識の運動です。また、赤ちゃんを抱き上げると、歩こうとするかのように足を前に出します。これは、「原始歩行」というやはり無意識の運動です。  しかし、「胎児期の脳幹や脊髄の成長とともに原始反射は始まり、大脳の機能が進むことで生後しばらくすると自然に消えていき、代わりに、本人の意思によって手足を動かす随意筋が出現する」のです。この移行は、赤ちゃんは、経験からしていきます。たままた握ったおもちゃを、繰り返し握ることで次第に自分の意思で物をつかむようになっていきます。たまたま、クレヨンを持って描いた線や丸を、描くことを繰り返すことで、次第に自分の意思で線を描くことができるようになっていくのです。この時には、経験が大切であると同時に、「自発的な運動」が重要になるのです。一見何も考えずに、行動しているかのような赤ちゃんの動きですが、しっかりと自分が成長するために、一歩一歩進んでいるのかもしれませんね。