赤ちゃん研究

安心感

2011.07.15

 子どもにとっては、信頼している人にいつでも「見てもらっている」という意識も持つことが重要なのです。子どもにとって、ベースキャンプともいう安心基地が必要なのです。そばにいる人を見つめるのは、助けてくれということだけでなく、また、いちいちやっていいかを聞いているのではなく、ちゃんと見てくれているだろうか、もし何かあったらすぐに助けてくれるだろうかという確認なのです。その確認が取れると、脳内の報酬系が活性化して、ドーパミンという喜びを感じたときに出る神経伝達物質が放出されるのです。
 茂木さんは、「子どもの発達にとって父母などの保護者が与える心理的な「安全基地」が不可欠です。問題行動を起こす人の多くに、どうも幼いときにこの安全基地となる環境が欠けていたらしい。そこで、保護者が子どもたちの幼いころにこの安心感を与えることが、一番大切なのだと提唱した。」と言います。「子どもが果敢に新しいことに挑み、冒険することができるのは、失敗しても守ってくれる、自分には帰る場所があると思うことができる“安全基地”があってこそだ。安全基地があることで、目新しいこと、不確実なことに対して意欲的に向き合おうという気持ちが起きる。」
 しかし、茂木さんは、この概念をもう一歩進めています。それは、脳科学からわかってきたことのようです。この安全基地という概念は、もともとは子どもと保護者間の問題であったのが、実は、もっと広く、コミュニケーション全般に関して言えることとしています。人間は、誰にとっても、他者とのコミュニケーションほど常に目新しく、不確実なことはないので、「安全基地」が必要になると言います。
  信頼感を持てる人が親から先生、友達へと少しずつ人数を増やしながら、自分自身が安心して過ごせる社会を形成していくのです。保育園での生活でも安心感を持てる人をたくさん作り、心地よい環境を築いてもらいたいと思います。

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