園長日記

2010 年 12 月 11 日 土曜日
 最近、内閣府から発表された「引きこもり」についてその数値を見ると、少し前の引きこもりと少し様相が変わっています。引きこもりの定義は、「ふだんは家にいるが、趣味の用事のときだけ外出する」「近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」「自室からほとんど出ない」状態が、「6か月以上」にわたり続いていて、「(引きこもる)きっかけが統合失調症または身体的病気」や「家事・育児をする」人たちを除いた人数ですが、その内訳を見ると、「自分の趣味の用事のときだけ外出する」と「近所のコンビニなどには出かける」人を合わせると、「引きこもり」の88%になるようです。「引きこもり」というと、「自室からほとんど出ない」という状況に困っている様子がテレビなどで報じられます。しかし、このタイプは、わずか7%に過ぎないのです。  では、「引きこもり」と言われる人たちは、どのようなタイプなのでしょう。そうでない人との比較で、大きな差が出たのは、「初対面の人とすぐに会話できる自信がある」について、一般の人たちは「はい」と「どちらかといえばはい」を合わせて57%で、「引きこもり」の人たちは、合わせて23%でした。この数字を見ると、世の中がいやになって閉じこもるのではなく、人と接することに負担を感じたり、人と接することが苦手だという人が増えたということでしょう。最近の学力とも、生きる力ともいえる「コミュニケーション能力」に欠けてきたということにもなるのでしょう。 もうひとつの傾向は、「自分の感情を表に出すのが苦手だ」について、「はい」や「どちらかといえばはい」と答えた人は、一般の44%に比べ、「引きこもり」の人たちは71%と高く、自己表現が苦手だと感じているために、人と接することを避けるようです。ですから、自分の好きなことであれば、また、自分の世界だけで過ごせるのであれば、外にも出かけることはするのです。  仕事はできるのに、人間関係に不安を感じて、職場に行けなくなってしまう人が、最近の「引きこもり」の中核になりつつあるといわれています。いま、社会で働いている人たちの中にも、人間関係に不安や緊張感を抱えている人が少なくないと言われています。もちろん、いじめを受けて不登校になったり、引きこもりになるケースもありますが、それほど人との関係の中でのきっかけがなくても、人とかかわることが困難な人が増えてきているようです。  これらの現象を嘆くのではなく、どこに原因があるのかを考えなければなりません。「ダイヤモンド・オンライン(DOL))のメールマガジン第439号でジャーナリストである池上正樹さんが例に挙げている引きこもりの例で、 その人の両親をこう言っています。「母親は、外面はいいが、子どもにはヒステリーのようにわめき、きつく当たった。父親は学者で、学問には熱心だが、家庭に興味はなく、まったく子どもと話そうとしなかった。子どもが話しかけても、返事は来なかった。」いわゆるキレる子の多くの生育歴は、過干渉の母親と、無関心の父親との間で育てられた子が多かったようです。  親子の関係から、もう少し子ども同士の関係を重視し、子ども同士の関わりの中で、発達を保障する保育を考えていく時代になった気がします。家庭と園とが協力して、「引きこもり」にならない子ども作りをしていきたいと思います。