おもちゃ

「伝承遊び」

2017.01.01

 あけましておめでとうございます。今年もこの園長日記を通して、日常の園の様子や子どもの育ちについて、保護者の皆様にお伝えして、家庭と協力しながら子ども達のより良い成長につなげていきたいと思っています。
 さて、今、3、4、5歳児の幼児組では、伝承遊びゾーンがとても流行っています。コマやお手玉、それに今まではあまり人気がなかったけん玉もちょっとしたブームになっています。
 けん玉が今まで人気にならなかった理由としては、高い技術力が求められるからだと思います。バランス感覚やリズム感、そして、玉や糸にまでも神経をかよわす集中力です。これらの力が平均してついていないと、一番簡単な大皿にのせるのも困難です。
 あともう一つ流行のきっかけになったのは、やはり、上手に出来るお兄ちゃん、お姉ちゃんの存在だと思います。上手な子の技に憧れ、「自分もいつかは同じように出来るようになりたい。」そう願いながらコツコツ練習をするようになるのです。
 昨年の発表会で幕間としてお見せしたあのけん玉も、簡単そうにやっていましたが、実は、高い技術を持った二人だったからこそ成功できましたし、あそこまで出来た子は今までいませんでした。
 このようにして、伝承遊びはいつの時代も受け継がれてきたのだなとしみじみ思いました。

(おたよりの続き)
 園の中の3、4、5歳児の保育室内に「伝承遊びゾーン」があります。そこには、子どもが子ども集団の中で古くから受け継いできた遊び道具が置いてあります。なぜ、伝承遊びの道具が置いてあるのかというと、伝承遊びといわれる遊びは、個人的に楽しむものや一人二人と徐々に仲間を増やして楽しむもの、大勢でいっしょに楽しむものなど様々な遊びがありますが、そのどれもが、遊びながら他の子どもとの関わり、他者との関係性を構築することによって、他者への理解、社会的ルール、コミュニケーションの能力などが育っていくことで、社会性が養われていきます。また、数的概念や科学的体験が入っていたり、問題解決能力や洞察力、忍耐力などが養われていきます。
 そのほかにも伝承遊びのよさにはこんなことがあると言われています。まず、手や足や身体を直接使って楽しめるものが多くあります。いわば、手足を使うことによって、脳が刺激されるのです。つぎに、歌やリズムに合わせて遊ぶものが多く、リズムの楽しさを味わうだけでなく、遊んでいる子の周りのムードも楽しくなり、周りの子を仲間に入れていく効果があります。次に、遊びがとてもシンプルな物が多く、しかも、遊びの技術が次第に高度に発展していくものが多いので、同じ遊びを長く続けていても飽きることなく、チャレンジする楽しみがあります。さらに、伝承遊びというのは、長いあいだ子どもの世界で受け入れられて来たために、子どもの興味関心、発達にマッチしたものであり、また、危険性などについても長い間の実証があるので安心です。
 正月の行事として園でも、毎年、伝承遊びの会を実施しています。この日は、普段はない福笑いやだるまおとし、はねつき、おはじき等も用意して地域のお年寄りを招いて行なっています。この方々こそ、子ども達に流行の火をつけてくれる火付け役なのです。お年寄りの技術に魅せられ、自分の技を磨こうと思うのです。考えただけでもワクワクしますね。
 さらなる流行を期待しましょう。

伝承遊びのルーツについて1月15日ごろ載せます

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