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「褒め方の工夫」

2015.11.30

 皆さんもよくご存知の通り、私は運動会や発表会の度に、子ども達に対して点数をつけています。そう!いつもの「ドゥルドゥル」です。なぜ毎回決まってアレをやるのでしょうか?それについてはあまり話したことがなかったかと思います。きっと皆さんも「恒例のアレね」と思っているので疑問にも思わなかったと思います。しかし、アレには実は深い意味があったのです。
 いつも私は2回の予行練習の時に点数をつけて、その後本番の時に「100点満点」となります。その際、その年その年の子どもの特徴を見つけ「1回目にはここを、2回目にはあそこを」と良い所、悪い所を指摘します。特に2回目には1回目に出来なかった事が良くなっていると言うことを強調し、ドンドン上手になっている事を伝えます。この時に役に立つのが点数です。どんなに分かりやすく伝えるよりも子ども達には良く伝わります。そして、数日後の本番の時に子ども達の思いは最高潮になります。
 ただし、私のこの様な関わりは、日ごろの先生とのやり取りや保護者の方の励ましがあってこそのものです。思う通りに進まずにつまづいている子どもに対して、時には一緒に悩み、時には近くで見守ってくれる人がいるからこそ、子ども達は大舞台でも頑張ることが出来るのです。「失敗してもいいんだよ」「昨日よりも上手になったね」といつもそばで見ていてくれる人がいる事が大切なのです。その様な関わりの中で子ども達が意欲を持って取り組める手助けになればと思って、私も「ドゥルドゥル」をやっています。
 今年の発表会はどの様なドラマが待っているのでしょうか?そして、最後の点数は…???お楽しみに‼

(おたよりの続き)
 現在の心理学の研究では、知的能力が褒められるときよりも、努力が褒められるときの方が、子どもたちは作業そのものに目が向くという結果が出ています。努力を認められた子どもたちは、もっと新しいことを理解し、もっと上手になろうとします。今している作業を楽しむことができますし、少々失敗したとしてもくじけません。
 一方、「あなたは天才よ」と言った知的能力を褒められると、動機づけも、実際の成果も振るわなくなる傾向があります。このような子どもは、失敗の恐れがある難しいプロジェクトなどを避けがちになるのです。課題に失敗してしまうと、途中であきらめやすいですし、努力を誉められた子どもに比べて、成果もよくないと言われています。
 子どもが活動でうまくいかなかった時には、課題が克服できるようしっかりと励ましてあげるといいと言います。そうすると、成功して褒められるときよりも、活動への満足感が高まるのです。
 それに対して、結果が良いことを何よりも高く評価し、それを追求するような先生がいるとします。そのような先生は、子どもたちに「作業」を続けさせようと、機械的であいまいな賞賛で子どもたちを操作しようとしがちです。しかし、残念なことに、大げさで空虚な賞賛をすると、活動への子どもの自発的な興味が妨げられ、学習への動機づけが弱まってしまうようです。子どもたちは何かを学ぶことよりも、ちゃんとした成果を出して先生に認めてもらうことに集中してしまい、活動自体への興味を失くしてしまうのです。最近は、子どもをただ褒めればいいとか、ほめて育てると言われることがありますが、ほめることには注意が必要です。
 「実際のところ、子どもたちがよい作業をしているかどうかに注意を払うのは必要なことではありません。かえって必要な集中力を妨げ、満足のいく結果を得られなくしてしまいます。このように動機づけが不適切だと、子どもたちは何らかの障害に行き当たったとき、あきらめてしまいがちです。また、先生が近くで“励ましてくれている”間だけ作業を続けるようになってしまうかもしれません。」
 アメリカの心理学者であるアルフィー・コーンは、「報酬も罰と同じく、ひとの行動をコントロールする」ということを言っています。そしてコーンは、報酬と罰とは、同じコインの表裏にすぎないと主張しています。称賛されすぎると、子どもは褒めてもらうこと自体に動機づけられてしまい、残念なことに、称賛を求めるあまり、褒められた行為自体への思い入れが損なわれてしまうというのです。
「褒める」といってもとても奥が深く、難しいですね。一つ大事なポイントがあるとすれば、それは子ども自身の事をしっかりと見てあげる事なのかなと思います。

報酬と罰ついて12月15日頃載せます。

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