乳幼児教育

今、必要なこと!

2010.08.14

 小学校学習指導要領22年試案で、図画工作を学ぶ意味の2つ目にあげているのは「技術力の基成」です。人は手で道具を作り、その道具を使って更に進んだ道具や、生活上いろいろ必要な物を作って、生活を豊富にし、進んだ文化を建設して行くのです。このことは,人類が他の動物といちじるしく異なる点であるが,同じ人類の中でも、この種の造形活動がいかに営まれるかは、その文化の程度を示すものであるとしています。手で道具を作り、物を作る活動、すなわち、人間の技術活動が伴わなければ、すべての文化は直接には生活の役に立たないのです。ですから、技術の養成、またはすべての技術の基礎となる目と手の感覚を鋭敏にすることが教育の一つの項目として取り上げられなければならないとしています。私は、人間が道具を使うという他の動物と違う特性を持つために、子どもは、さまざまな道具、その形、仕組み、その違いを、五感をフルに使って知ろうとすると思っています。また、赤ちゃんが、ものに触ったり、引っ張ったり、転がしたりとその機能を確認しようとしているかのように見えます。ですから、ものをただ見て鑑賞するような行動はせず、じっとものを見ていても、それは触る時期を図っているかのようです。このような行動は、人間特有のように見えます。犬や猫などが道具に興味を持って、それにじゃれるのは、将来の狩りの練習をしようとしているようで、人間の赤ちゃんが取る行動と少し違うようです。これは、何も学童期から図画工作が一つの教科として取り上げられた意味だけでなく、乳幼児期から環境として用意しなければならない課題なのです。
 次が「芸術心の啓培」です。美を愛し、美を創造し、美を味わい楽しむのも、人間の持つ一つの特性です。人類はこの特性を持っているから、諸種の芸術品を作り、それによって生活にうるおいを与えていると書かれてあります。芸術は単なるぜいたくではなく、やむにやまれない人の本性から出発しているものであるという視点はおもしろいですね。
 人は大昔から、絵や造形を通して、さまざまに表現をして、人と人とが関わってきました。その人との関わりが心を培ってきたのです。豊かな心を持って生きていくことこそ今我々に必要なことなのではないでしょうか。

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